リサイクルの工程
家電のリサイクルは、手解体作業と大型設備による破砕・選別工程という二つの工程で成り立っています。
人の手による高精度な選別と、素材に応じてさまざまな仕組みを駆使した選別装置により、安全で効率的なリサイクルと資源の有効利用を実現しています。
手解体工程
テレビ工程
ブラウン管(少し昔のテレビ)と薄型テレビでは、構造が大きく違うため、それぞれ別々に解体しています。
薄型テレビ工程
(液晶テレビ・プラズマテレビ)薄型テレビ手解体作業
- リサイクルのポイント
- ネジが多く、構造が複雑なので、解体手順を覚えるのに時間がかかる
- 新しい機種ほど解体しやすい
- 液晶テレビに使われている水銀も確実に回収する
- 主な回収物
- 制御基板、電源基板、液晶パネル、バックライト(蛍光管)など
ブラウン管テレビ工程
ブラウン管テレビ手解体作業
- リサイクルのポイント
- ブラウン管(CRT)も解体し、ガラスも素材別に分ける
- 主な回収物
- 電源基板、スピーカ、ガラス、鉛入りガラス、単一素材プラスチック(リアカバー破砕品)など
エアコン工程
室内機と室外機がセットになっています。それぞれ別々の場所で解体します。銅やアルミなど価値の高い金属が多く使われているので、混ざらないように回収します。
エアコン手解体作業
- リサイクルのポイント
- フロンが多く使われているので確実に回収する
- 埃や砂が多いので、きれいにしてから解体する
- 部品をさらに解体することで純度の高い資源を取り出す
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フロン回収作業
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コンプレッサ解体作業
- 主な回収物
- フロン類、コンプレッサ、熱交換器、モーター、トランスなど
冷蔵庫工程
一定時間で動くコンベアに立てた状態で解体していきます。フロンが使われているものといないものがあるので見極めながら作業します。
冷蔵庫手解体作業
- リサイクルのポイント
- 古い冷蔵庫には断熱材の中にフロンがあるので、確実に回収する
- 野菜ケースなど単体プラスチックの部品が多いので、個別に回収する
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単一素材プラスチックの回収
- 主な回収物
- フロン類、ドアパッキン、銅管、単一素材プラスチック(野菜ケース・透明な棚板)など
洗濯機工程
構造はシンプルなものが多いですが、中にはとても解体しにくいものもあります。特にドラム型洗濯機は解体が複雑で時間がかかります。
洗濯機手解体作業
- リサイクルのポイント
- 塩水が使われているので、機械がさびないように回収する
- モーターをさらに解体することで価値を上げる
- 主な回収物
- モーター、電源コード、吊り下げ棒、基板、塩水など
破砕工程
基板などの部品が取り外された後に残った筐体等を、大型のフードカッターのような機械で細かく破砕します。細かくすることで、素材別にばらばらとなり、のちの選別工程を行いやすくします。
冷蔵庫も丸ごと破砕され、瞬く間に粉々となります。
破砕機
冷蔵庫がそのまま入る大きさです。内部のハンマーが高速で回転しており、叩いたり引きちぎるようにして、細かくしていきます。
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破砕の様子
選別工程
破砕直後では、さまざまな素材が混ざり合っており、そのままでは資源としての価値はありません。素材の性質に応じた選別機を用いて、鉄・非鉄金属(銅・アルミ)・各種プラスチックに選別・回収することで、資源として高い価値を作ることができます。
多いものから順に選別していきます。
風力選別
冷蔵庫の断熱材である発泡ウレタンは、破砕するととても軽いプラスチックとなります。
軽いプラスチックが飛ぶが、他の素材は飛ばないという絶妙な強さの風を使い、分離していきます。
回収後、すりつぶして粉状にした後で固めてペレット状にすることで、固定燃料(RPF)となります。
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風力選別機
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風力選別の仕組み
磁力選別
鉄を回収するには、やはり磁石です。吊り下げられた磁石で鉄を吸い寄せて回収します。
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磁力選別機
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磁力選別の仕組み
渦電流選別
非鉄金属(銅やアルミなど)の導電性を利用し、渦電流を発生させることで反発させて回収します。
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渦電流選別機
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渦電流選別の仕組み
浮沈選別
最後に残ったプラスチックを水との比重差を利用して選別します。
水に浮くプラスチックと沈むプラスチックに選り分けられます。
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浮沈選別機
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浮沈選別の仕組み